
朝晩が冷えてきて、そろそろエアコンの暖房を入れようか迷っている。そんな時期になりました。
先に結論を書きます。今年の10〜12月は、電気代の国の補助がない“空白の3か月”です。しかも暖房を使い始める時期と重なります。だからこそ、スイッチを入れる前の1週間でやっておく冬支度が、そのまま冬の電気代に効いてきます。
この記事では、資源エネルギー庁などの公表データをもとに、暖房を入れる前にやっておきたい準備を6つ、手間の小さい順に並べました。最後に、7日間で終わらせる段取り表も付けています。
最初に大事な話:電気代の補助は「9月使用分」で終わっています
2026年の夏は、国の「電気・ガス料金支援」で電気代が値引きされていました。東京電力エナジーパートナーの案内では、一般家庭向け(低圧)の値引きは次のとおりです(東京電力EP「国による電気・ガス料金支援について」)。
| 使用した月 | 値引き(1kWhあたり) |
|---|---|
| 2026年7月 | 3.5円 |
| 2026年8月 | 4.5円 |
| 2026年9月 | 3.5円 |
| 2026年10月以降 | なし |
つまり、10月に使った電気(多くの家庭では11月に届く明細)から、値引きがなくなります。
月に400kWh使う家庭で計算すると、9月使用分は「3.5円×400kWh=1,400円」の値引きがありました。同じ量を使っても、10月使用分ではこの値引きが消えます。電気代が上がったように見えるのは、使い方が変わったからではなく、補助が終わったからかもしれません。
では冬はどうか。2026年10月21日、政府が2027年1〜3月の電気・ガス料金の補助を検討していると報じられました(KSB瀬戸内海放送(ANN))。ただし記事公開時点では検討の段階で、値引き額も開始月も決まっていません。
整理すると、こうなります。
- 10〜12月:補助なし(暖房を使い始める時期)
- 2027年1〜3月:補助が検討中(未決定)
「補助があるから大丈夫」と思っていた人ほど、11月の明細で驚くかもしれません。準備するなら、暖房を入れる前の今です。
暖房を入れる前の1週間でやる6つの準備
どれも特別な道具はほぼ要りません。手間の小さい順に並べています。数字は資源エネルギー庁の試算で、1kWh=31円で換算された金額です(資源エネルギー庁 省エネポータル「エアコン」)。
1. エアコンのフィルターを掃除する(目安15分)
いちばん手軽で、数字もはっきりしている準備です。資源エネルギー庁の試算では、フィルターを月1〜2回掃除すると、目詰まりした状態と比べて年間31.95kWh、約990円の節約になります。
夏の冷房シーズンを終えたフィルターには、ほこりがたまっています。目が詰まると風が通りにくくなり、同じ暖かさを出すのに余計な電気を使います。
- 掃除機でほこりを吸う
- 汚れがひどければ水洗いして、しっかり陰干しする
- 濡れたまま戻さない
取り外し方は機種ごとに違うので、取扱説明書かメーカーの公式サイトで確認してください。届きにくい部分はブラシがあると楽です → エアコンフィルター掃除ブラシの一覧(Amazon)
2. 室外機のまわりを片づける(目安10分)
見落としがちなのが、ベランダや庭にある室外機です。暖房のときも室外機は外の空気とやり取りしているので、吹き出し口の前に物が置かれていると効率が落ちます。
- 吹き出し口の前の植木鉢・段ボール・自転車をどかす
- 落ち葉やビニールが吸い込まれていないか見る
- カバーをかける場合も、吹き出し口はふさがない
数字で効果を示す公的な試算は見つからなかったので、ここは「損を防ぐ準備」と考えてください。
3. 試運転をして、故障に早く気づく(目安30分)
本格的に寒くなってから「温風が出ない」と気づくと、修理や買い替えの依頼が混み合う時期と重なりがちです。暖かい日のうちに、一度だけ暖房で動かしておきましょう。
- 暖房モードで運転し、温風が出るか
- 運転ランプが点滅していないか(点滅はエラーの合図のことが多い)
- 変な音やにおいがしないか
ランプの点滅の意味は機種によって違います。気になったら、取扱説明書でエラーの内容を確認してください。
4. 窓のすき間と冷気をふさぐ(目安1時間)
部屋の暖かさは、壁よりも窓から逃げやすいといわれます。暖房の効きが悪い部屋ほど、窓を見直す価値があります。
- 厚手のカーテンにかえる、床まで届く長さにする
- 窓に断熱シートを貼る
- サッシのすき間にすき間テープを貼る
断熱シートは結露を減らす効果をうたう商品も多く、冬の窓掃除が少し楽になります → 窓用断熱シートの一覧(Amazon)
貼る前に、ガラスの種類を確認してください。網入りガラスなど、メーカーが貼り付けを勧めていないガラスもあります。
5. サーキュレーターで暖気を足元へ回す(目安5分)
暖かい空気は上へたまります。顔のあたりは暖かいのに足元が寒い、という状態になりやすいのはこのためです。
サーキュレーターを床に置き、天井に向けて風を送ると、上にたまった暖気がかき混ぜられます。足元が暖かく感じられれば、設定温度を上げずにすみます。
この「設定温度を上げずにすむ」が大事なところです。資源エネルギー庁の試算では、暖房の設定温度を21℃から20℃に1℃下げるだけで、年間53.08kWh、約1,650円の節約になります。6つの準備のうち、窓・サーキュレーター・次の加湿は、すべて「1℃下げても寒くない部屋」をつくるための準備です → サーキュレーターの一覧(Amazon)
6. 湿度計を置いて、乾燥しすぎを防ぐ(目安5分)
エアコンの暖房を使うと、部屋は乾燥しやすくなります。同じ室温でも、乾燥していると肌寒く感じやすいものです。
目安として、ビルの衛生管理の基準(建築物衛生法)では、室内の相対湿度を40〜70%に保つよう定めています。家庭でも、まずは湿度計を置いて「いまの湿度」を見えるようにするのが第一歩です。
- 湿度が40%を下回るなら、加湿器や洗濯物の部屋干しで調整する
- 上げすぎると窓の結露やカビの原因になるので、70%を超えないように
置き場所を選ばない小型の温湿度計で十分です → 温湿度計の一覧(Amazon)
補助なし期間の電気代を見積もる計算式
「ヒーターとエアコン、どっちが安いの?」と迷ったら、計算式を1つ覚えておくと判断が早くなります。
電気代(円)=消費電力(kW)×使った時間(h)×31円
31円は、家電の電気代表示で使われる目安単価です。実際の単価は契約によって違うので、手元の明細の数字に置きかえるとより正確になります。
| 器具の消費電力 | 1時間あたり | 1日5時間×30日 |
|---|---|---|
| 1,200W | 約37円 | 約5,580円 |
| 600W | 約19円 | 約2,790円 |
| 300W | 約9円 | 約1,395円 |
※いずれも上の式で計算した目安です。
電気ストーブやセラミックヒーターは、強運転で消費電力が1,000Wを超えるものが多くあります。本体のラベルや取扱説明書に書かれた消費電力で計算してみてください。エアコンは運転状況で消費電力が大きく変わるため、この式では比べにくい点に注意が必要です。
また、使う時間を減らすのも効きます。資源エネルギー庁の試算では、暖房を1日1時間短くすると年間40.73kWh、約1,260円の節約です。タイマーで「起きる30分前に入れて、出かける前に切る」だけでも積み重なります。
7日間で終わらせる冬支度の段取り
6つの準備を1日にまとめてやる必要はありません。平日の夜に少しずつ進めるなら、この順番がおすすめです。
| 日 | やること | 所要時間 |
|---|---|---|
| 1日目 | 電気の明細で「先月の使用量(kWh)」を確認する | 5分 |
| 2日目 | エアコンのフィルターを外して掃除・陰干し | 15分 |
| 3日目 | フィルターを戻して、暖房で試運転 | 30分 |
| 4日目 | 室外機のまわりを片づける | 10分 |
| 5日目 | 窓の採寸をして、断熱シートやすき間テープを用意 | 15分 |
| 6日目 | 断熱シート・カーテン・すき間テープを取り付け | 1時間 |
| 7日目 | サーキュレーターと湿度計を置き、設定温度を決める | 10分 |
1日目に使用量を確認しておくのがポイントです。準備の前後で比べられるので、「やった意味があったか」が数字で分かります。
別解:家ごと暖かくしたいなら「窓の補助金」も期限あり
断熱シートは手軽ですが、効果には限界があります。「毎年冬の窓まわりが寒い」「結露がひどい」という家なら、窓そのものを替える選択肢もあります。
国の「先進的窓リノベ2026事業」では、内窓の設置やガラス・窓の交換に、1戸あたり最大100万円の補助が出ます(先進的窓リノベ2026事業 公式)。押さえておきたい点は次のとおりです。
- 補助額の合計が5万円以上の工事が対象
- 申請するのは住人ではなく、登録事業者(施工業者など)
- 交付申請の予約は遅くとも2026年11月16日まで、交付申請は遅くとも12月31日まで
- 予算の上限に達した時点で受付終了(期限より早く締め切られることがある)
つまり、検討するなら「年内のうちに業者へ相談」が現実的なラインです。賃貸の場合は、まず管理会社や大家さんに相談してください。
まとめ:今年は「暖房を入れる前」が勝負
- 電気代の補助は9月使用分で終了。10〜12月は値引きなし
- 2027年1〜3月の補助は検討中で未決定
- 暖房前の準備は、フィルター掃除・室外機・試運転・窓・サーキュレーター・湿度計の6つ
- 窓・サーキュレーター・加湿は「設定温度を1℃下げても寒くない部屋」をつくるため。1℃で年間約1,650円の試算
- 本格的な断熱なら、窓リノベ補助は予約11月16日まで・予算到達で終了
補助が戻るかどうかは、まだ分かりません。けれど、フィルター1枚の掃除は今週末にでもできます。寒さが本番になる前に、1日目の「明細チェック」から始めてみてください。
夏のエアコンの使い方は 室内熱中症の対策記事 で、家計の見直しは ふるさと納税2026の記事 でまとめています。あわせてどうぞ。








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