
「最近Wi-Fiが遅いし、そろそろルーターを買い替えようかな」。そう思ったとき、真っ先に見るのは家電量販店の売り場かもしれません。
先に結論を書きます。Wi-Fiルーターの買い替え時期は「使った年数」ではなく、「メーカーのサポートが続いているか」と「無料の切り分けで直るか」で決まります。そして2026年は、この順番を守る価値がいつもより大きい年です。ルーターの値段そのものが上がっているからです。
この記事では、メーカー公式の発表と警視庁・IPA(情報処理推進機構)の資料を読んで、買い替えるべき5つのサインと、お金をかけずに原因を切り分ける6ステップを整理しました。
最初に大事な話:2026年は「壊れたら安く買い直す」が通用しにくい
NECプラットフォームズは2026年7月1日から、Aterm(エーターム)シリーズのWi-Fiホームルーター4機種を4.4〜65.5%値上げしました。理由は部材価格に加えて、人件費・物流費の上昇です(Aterm Station お知らせ)。
バッファローも2026年8月3日から、Wi-Fiルーターを含む105型番の価格を5.8〜42.5%改定しました(対象にはNASやHDDも含まれます/バッファロー プレスリリース)。
ルーターは「数千円で買い直せる消耗品」。そう考えている人は多いはずです。ところが国内大手2社が相次いで値上げに動いたいま、原因を確かめずに買い替えて「結局遅いまま」になる失敗は、去年より高くつきます。
もう一つの思い込みも崩しておきます。「回線を速いプランに変えれば速くなる」。これは半分だけ正解です。ボトルネックがルーターの置き場所や、スマホ側の対応規格にあれば、回線をいくら太くしても体感は変わりません。
買い替えを考えるべき5つのサイン
次の5つのうち、どれか1つでも当てはまれば買い替えの検討に入ってよいサインです。逆に、どれにも当てはまらないなら、後半の6ステップを先に試してください。
サイン1:メーカーのサポートが終わっている
いちばん重いサインです。サポートが終わると、ファームウェア(ルーターを動かすソフト)の更新が止まり、新しく見つかった弱点が直されなくなります。
警視庁は家庭用ルーターの不正利用について、メーカーのサポートが終了した機器は「買い替えを検討する」よう呼びかけています(警視庁「家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起について」)。NECのAtermサポートページも、サポート期間が終わった製品について最新製品への買い替えを勧めています(Aterm Q&A)。
「普通に使えているから大丈夫」は、ルーターでは通用しません。動いていても、守られていない状態はあり得るからです。
サイン2:再起動とファームウェア更新をしても、切れる・遅いが直らない
一時的な不調なら再起動で戻ります。再起動しても、ファームウェアを最新にしても、同じ症状が繰り返すなら本体側の劣化を疑います。
サイン3:暗号化の設定で古い方式しか選べない
ルーターの管理画面で、WEPや初代WPAのような古い暗号化方式しか選べない機種は、そもそも設計が古い世代です。新しい端末とつなぐときに、セキュリティ面で妥協を強いられます。
サイン4:回線を上げたのに、ルーターの差込口が追いつかない
1Gbpsを超える光回線プランに変えたのに、ルーターのインターネット側の差込口(WANポート)が1Gbpsまでの対応だと、そこで頭打ちになります。回線のプラン変更とルーターはセットで考えるのが基本です。
サイン5:家族の端末が増えて、届かない部屋がある
子どもにタブレットを渡した、在宅勤務でパソコンが増えた。こうした変化で、つながる台数も使う部屋も増えます。2階の子ども部屋だけ動画が止まる、といった「場所の問題」は、ルーターを1台高性能にするより、後述のメッシュWi-Fiのほうが効くことがあります。
買う前に無料でできる切り分け6ステップ
お金をかけずに「どこが詰まっているか」を絞り込む手順です。上から順に試すと、買わなくていいケースを先にふるい落とせます。
ステップ1:ルーターとONU(回線終端装置)を再起動する
電源を抜き、少し時間を置いてから、ONU→ルーターの順に入れ直します。これで直れば、今日は買わなくて大丈夫です。
ステップ2:有線でつないで速度を測る
パソコンをLANケーブルでルーターに直接つなぎ、速度測定サイトで測ります。有線でも遅いなら、原因はWi-Fiではなく回線側かルーター本体です。有線なら速いのにWi-Fiだけ遅いなら、ステップ3へ進みます。
ステップ3:ルーターのすぐ横で、スマホで測る
ルーターの真横で速く、いつもの部屋で遅いなら、原因は「距離と壁」です。この時点で、高いルーターを買う必要がない可能性がぐっと上がります。
ステップ4:置き場所を変える
床に直置き、テレビ台の奥、金属製の棚の中は、電波が弱くなりやすい置き方です。家の中心に近い、床から少し高い位置に移すだけで、届く範囲が変わります。電子レンジの近くも、2.4GHz帯の電波と干渉しやすいので避けてください。
ステップ5:5GHz帯につながっているか確認する
多くのルーターは2.4GHz帯と5GHz帯の電波を出しています。2.4GHz帯は遠くまで届く一方で混みやすく、5GHz帯は速い一方で壁に弱いのが特徴です。スマホのWi-Fi設定を開いて、いまどちらにつながっているか確かめてみてください。同じ部屋でも、つなぐ電波を変えるだけで体感が変わることがあります。
ステップ6:ファームウェアを更新し、管理画面を点検する
管理画面から最新のファームウェアに更新します。ついでに、警視庁の注意喚起が挙げている点検もしておきます。見覚えのないVPNやDDNS、外部からの管理画面アクセスの設定が有効になっていないかです。心当たりのない設定があれば、初期化してファームウェアを更新し、複雑なパスワードを設定し直すよう案内されています(警視庁)。
ここまで試して改善しない場合、または前半のサイン1・3・4に当てはまる場合が、Wi-Fiルーターの本当の買い替え時期です。
2026年に選ぶなら:失敗しない3つのチェック
チェック1:規格は「手持ちの端末」に合わせる
Wi-Fiの規格は、使える電波の帯域で整理すると分かりやすくなります。日本では6GHz帯を使えるようにする制度整備が2022年、次世代規格(IEEE 802.11be=Wi-Fi 7)の導入に向けた規則改正が2023年12月に行われました(総務省 令和6年版 情報通信白書)。
| 規格 | 使う電波の帯域 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Wi-Fi 6 | 2.4GHz・5GHz | 予算を抑えたい/端末が数年前の機種中心 |
| Wi-Fi 6E | 2.4GHz・5GHz・6GHz | 6GHz帯に対応した端末がすでにある |
| Wi-Fi 7 | 2.4GHz・5GHz・6GHz | 対応端末を使っている/長く使うつもり |
注意したいのは、ルーターだけ新しくしても、端末が非対応なら新しい規格の恩恵は出ないことです。たとえばAppleのサポートページでは、Wi-Fi 7に「フル対応」するiPhoneを、iPhone 16 Pro/16 Pro Max以降(iPhone 16e・17eを除く)とiPhone Airとしています(Apple サポート)。
同じAppleのページには、もう一つ見落としやすい注意があります。2.4GHz・5GHz・6GHzでネットワーク名(SSID)をそろえることを推奨しており、名前が違うと5GHz側につながる場合がある、という点です(Apple サポート)。せっかくのWi-Fi 7ルーターを買って、設定で損をするのはもったいない話です。
チェック2:箱の「JC-STAR」ラベルを見る
2025年3月25日、経済産業省のもとでIPAが「JC-STAR」というIoT機器のセキュリティラベリング制度の運用を始めました。★1は、製品に共通して求められる最低限のセキュリティ要件を満たすことを、メーカー自身が宣言するものです。ラベルの二次元コードを読み取ると、製品のセキュリティ情報や問い合わせ先を確認できます(IPA プレスリリース)。
家庭用ルーターでも対応製品が出ています。たとえばバッファローが2026年6月に出荷を始めたWi-Fi 6ルーター「WSR-3000AX4L」は★1適合をうたっています(バッファロー プレスリリース)。値段やカタログ上の速度だけでなく、箱のラベルを1つ見る。これがサイン1(サポート切れ)を次の数年で繰り返さないための近道です。
チェック3:箱の最大速度は「理論値」と割り切る
箱に書かれた最大速度は理論値で、実際の速度はこれより下がります。比べるときは数字の大きさより、「自分の端末が対応する規格か」「家の広さと台数に合うか」を優先してください。
Wi-Fi 7対応ルーターの価格帯を見ておきたい人は、Wi-Fi 7ルーターの一覧(Amazon)から比べられます。
買い替えたら最初にやる3つ
- 管理画面のパスワードを初期値から変える(警視庁も初期設定の単純なID・パスワードの変更を呼びかけています)
- ファームウェアの自動更新をオンにする(対応機種の場合)
- 古いルーターは初期化してから処分する(Wi-Fiのパスワードや設定が残ったままにしない)
買い替え前に、いまのSSIDとパスワードを控えておくと、家族の端末のつなぎ直しが楽になります。
別解:家全体に届かないなら「1台を高くする」よりメッシュWi-Fi
切り分けの結果が「ルーターの横では速いのに、離れた部屋だけ遅い」なら、問題は性能ではなく範囲です。この場合、高価な1台に買い替えるより、複数台で家全体をカバーするメッシュWi-Fiや中継機のほうが効くことがあります。
- 2階建て・広めの間取りで、部屋ごとの差が大きい → メッシュWi-Fiの一覧
- 届かない部屋が1か所だけ → Wi-Fi中継機の一覧
- 在宅勤務のパソコンなど、動かさない機器 → 有線接続が最も安定します(LANケーブル カテゴリー6Aの一覧)
まとめ:Wi-Fiルーターの買い替え時期は「サポート」と「切り分け」で決める
Wi-Fiルーターの買い替え時期を決めるのは年数ではありません。サポートが終わっていれば、動いていても替えどきです。サポートが続いているなら、まず6ステップで原因を絞る。それでも直らなければ、手持ちの端末に合った規格とJC-STARラベルを確かめて選ぶ。値上げが続く2026年は、この順番を守ることが、いちばん確実な節約になります。
あなたの家のルーター、型番をメーカーのサイトで検索したことはありますか。サポート状況のページを一度見てみるところから始めてみてください。
家族のスマホまわりを見直しているなら「子どものスマホ制限|iOS 27対応の設定5ステップ」、機種変更の準備なら「LINE引き継ぎ|機種変更で消える5つと6ステップ」と「iPhone買い替え準備|発表前の1週間でやる5つと下取りの落とし穴」もどうぞ。








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