「幻の梨」と呼ばれる品種、“稲城”をご存じでしょうか。市場にはほとんど出回らず、産地の直売所を訪ねないと手に入らない梨で、旬は8月下旬から9月上旬までのわずか2週間ほど。つまり、今週末が絶好のタイミングです。
八幡山からは京王線で乗り換え1回。朝のうちに出かければ、昼には冷えた梨が食卓に載ります。この記事では、品種“稲城”の正体と、電車で行ける直売所エリア、売り切れ前に買うコツをまとめました。
市場に出ない「幻の梨」。1kg超の大玉もある品種“稲城”
“稲城”は、稲城市の梨農家が自分たちの手で育成した品種で、いま市内でいちばん多く栽培されている看板品種です。生産組合の公式サイトによると、早い時期に穫れる品種でありながら1kgを超える大玉が穫れることもあり、包丁を入れると果汁がしたたり落ちるほどみずみずしいのが特徴。それなのに、スーパーの棚ではまず見かけません。流通にほぼ乗らず産地の直売が中心のため、「幻の梨」と呼ばれています。
私は最初、梨の直売は9月の行事だと思い込んでいました。ところが“稲城”の収穫時期は8月下旬〜9月上旬。地域ブログの観測では、今年も8月中旬から直売所に並び始めていて、シーズンはすでに後半戦です。
稲城の梨は、幸水(8月中旬)→稲城(8月下旬〜9月上旬)→豊水(9月中旬)→新高(9月下旬〜10月初旬)と品種のリレーが続きます。いまはちょうど、主役が舞台に立っている時間帯というわけです。
八幡山から乗り換え1回。「駅前がそのまま産地」の直売所エリア
行き方はシンプルです。京王線で調布に出て、京王相模原線に乗り換えるだけ。各駅停車なら2駅目が京王よみうりランド駅、3駅目が稲城駅です。急行などの速い列車は稲城駅を通過するので、調布からは各駅停車に乗るのが確実です。
おもしろいのは、駅の周りがそのまま産地であること。京王よみうりランド駅のある矢野口と、稲城駅のある東長沼は、どちらも梨園の直売所が集まるエリアです。地元の情報サイトには市内74園をまとめた直売所マップがあるほどで、畑の脇の売店で穫れたてを買う、という買い方が当たり前に残っています。観光農園に車で乗り付けるのではなく、駅から歩いて畑へ。この距離感は、電車暮らしの世田谷民にはむしろ好都合です。
勝負は午前中。「現在販売中」ページを見てから出発する
直売所巡りでいちばん大事なコツはこれです。梨の直売は「その日の収穫分が売り切れたら閉店」という園が目立ちます。営業時間よりその日の収穫量がすべてで、Instagramのストーリーズで朝9時前後に開店・休店を知らせる園もあるほど。土曜の午後にのんびり行くと、閉まった売店の前で立ち尽くすことになりかねません。
出発前に見てほしいのが、稲城の梨生産組合の公式サイト「もぎたての稲城の梨」です。トップページに「現在販売中の梨」という欄があり、その日売っている園の名前が並びます。この記事を書いている8月29日朝の時点では、中道園・泉園・矢髙園・加金園・田甚園の5園が表示されていました。ここを確認してから家を出ると、空振りの確率がぐっと下がります。
もうひとつの狙い目が、同じ直売所に並ぶ種なしの「高尾ぶどう」です。昭和30年代に立川の東京都農業試験場で生まれた都産の品種で、稲城では贈答用ブランドとして定着しています。出回るのは8月中旬から9月上旬ごろ。幻の梨と都産ぶどうを一度に買えるのは、この季節だけの役得です。真夏日の持ち帰りは傷みが心配なので、保冷バッグを1つ持っていくと安心でした、という声も見かけます。
まとめ|“稲城”に会えるのはあと1週間あまり
品種“稲城”の旬は、9月上旬まで。逃しても豊水、あきづき、新高とリレーは10月まで続くので、直売所通いはこれからが本番です。とはいえ「幻」を名乗る主役に会えるのは、いましかありません。
今週末の朝、コーヒーを1杯ぶんだけ早く切り上げて、京王線に乗ってみませんか。改札を出て畑に向かって歩く数分で、いつもの沿線が少しだけ旅先に変わります。
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